建物区分所有法と民泊

①分譲マンションの管理


事務所、店舗、分譲マンションの一室のように、一棟の建物の一部を独立した所有権の対象となる場合に適用されるのが建物区分所有法で、その建物全体を区分所有建物という。建物区分所有法は、主に区分所有建物についての「管理」と「権利関係」について規定している。そして、建物区分所有法が予定している管理は、各住戸部分(専有部分という)の所有者(区分所有者という)からなる管理を目的とする団体(管理組合という)により、集会決議と規約(管理規約)というルールに則った管理である。


区分所有建物には、階段室、エレベーター、玄関エントランス、廊下、外壁等の専有部分以外の建物の部分や設備、配管本管等、専有部分に属しない建物の附属物がある。これらを「共有部分」というが、基本的に管理組合による管理の対象は、この「共用部分」である。各住戸部分にあたる「専有部分」の管理は、持ち主である区分所有者の権利と義務により管理することとなる。なお、この管理組合という団体は、区分所有者が2人以上となれば、法律上当然に成立する団体である(区分所有法3条)。

②専有部分の用途規制


各住戸部分である専有部分は、管理組合により管理の対象ではないから、本来は自由に利用できるはずである。しかし、区分所有建物は価値観も生活様式も異なる複数の者が、一つの建物に居住するという特質を有することから、区分所有者の権利は、区分所有者間や居住者間の利害関係を調整する観点からの規制を受けることが認められている(同法6条、30条1項)。専有部分に対する主要な規制方法が、規約による用途制限である。規約によって、専有部分の用途と用法を制限することは、実務上もよくある。因みに、国土交通省は規約の雛型を作成しているが、その単棟型といわれるものでは、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」と規定されている(マンション標準管理規約単棟型12条)


③専有部分の民泊利用と建物区分所有法

a)規約による専有部分に対する用途制限がある場合
上記のように、専有部分に対して住宅用途に限る等の規約の規定がある場合、住戸部分を民泊施設に利用することはできない。

b)規約による用途制限がない場合
区分所有法では、区分所有に対する一般的な義務として「共同利益違反行為」の禁止が課されている。すなわち、「区分所有者は、建物の保存行為に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」(同法6条1項)。「共同利益」に違反する行為にあたるかどうかは、一般的には「当該行為の必要性の程度、これによって他の区分所有者が被る不利益の態様、程度の諸事情を比較考慮して決められるものと考えられているが、民泊との関係でいえば、他の居住者の居住の平穏を害し、それが「生活上の共同の利益に違反する迷惑行為」になるかどうかが問題となる。

c)「共同利益」に違反する行為に該当する場合、管理組合又は管理組合法人は、以下の措置をとることができる。


<義務違反者に対する措置>
共同利益に反する行為をする区分所有者に対しては、他の区分所有者は、(イ)行為の停止等、(ロ)専有部分の使用禁止、(ハ)区分所有権及び敷地利用権の競売、の各請求をすることができる。また、区分所有者の共同利益に反する行為をする占有者に対しては、(イ)行為の停止等のほか、(ニ)引渡し請求をすることができる。

(イ)行為の停止等の請求
区分所有者又は占有者が、共同の利益に反する行為をした場合、またはするおそれがある場合にその行為の差し止めあるいは、除去を請求するものである。

(ロ)専有部分の使用禁止の請求
区分所有者が共同の利益に反する行為をし、あるいはするおそれがある場合で、行為の停止等の請求によっては区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、専有部分の使用禁止を請求するものである。

(ハ)区分所有権及び敷地利用権の競売の請求


区分所有者が共同の利益に反する行為をし、あるいはするおそれがある場合で、他の方法によっては区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、区分所有権及び敷地利用権の競売を請求するものである。

(ニ)専有部分の引渡し請求
占有者が共同の利益に反する行為をし、あるいはするおそれがある場合で、他の方法によっては区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、占有者の専有部分の専有を解いて、区分所有者に引き渡すことを請求するものである。